『欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち』書評
  『欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち』書評   ■ 小学生の時に性犯罪の被害に遭う。   ■ 20歳のとき、思いを寄せる男性から性同一性障害であることを告げられ、大きな衝撃を受ける。   ■ 性犯罪のフラッシュバックにより鬱病発症、約5年もの間、通院生活を余儀なくされる。   本書は、そんな性に翻弄された人生を送ってきた著者が、   「子どもを性的に見るとはどういうことか」   を知るために始めた取材の成果を、一冊にまとめたものである。   聞き込みをもとに構成されており、私見を極力排除しているため、   子どもを性の対象とする人たちの心情を理解したいと考えている方々にオススメしたい。   ※灰色フォントは引用。    特に断っていないが、読み易くするため適宜中略している。   ◆第1章 少女への想いを文学で昇華させる会社員    まだ20代だった頃、彼は親戚を通じて理沙(仮名)という少女と出会った。    当時、理沙はたったの10歳だった。    にもかかわらず、半田さんは彼女を本気で愛している自分に気づいてしまった。    それまで、彼は年上の女性にしか興味がなかった。    性的な好奇心から、行きずりの女性と初めて肉体関係をもったのは20歳くらいのとき。    その相手も年上だった。    「理沙が13歳の頃には、誰も見ていないところでキスくらいはしていたけれど、     そして膨らみかけた胸を私の手のひらで感じていたけれど、私は何もできなかった」    30歳になった半田さんは、仕事を通して知り合った成人女性と結婚した。    結婚を機に、当時14歳だった理沙とは距離を置くようになった。    「女性は勘が鋭いから、このまま会い続ければ妻はあやしむだろう」と考えての決断だった。    妻のことは自然に愛せた。    大人へと成長していく理沙を通して、いつの間にか成人女性にも愛情をもてるようになっていた。    結婚からまもなく、娘が生まれた。    娘のことは、家族として愛してはいた。    ただ、「ロリータ」の年齢になっても、性の対象として意識することはなかった。   老舗ロリコン向けウェブサイト『ロリータ治療塔』の管理人、半田杜夫さんの経験談である。      ■ 年上の女性にしか興味がなかったはずなのに、少女を本気で愛してしまう。   ■ キスやハグをしているくせに「私は何もできなかった」と言ってのける。   ■ 少女を本気で愛しており、少なくともプラトニック・ラブと言ってもよい関係にありながら、    成人女性と付き合い、結婚までしてしまう。    それなのに「少女を裏切ってしまった」とは考えない。   ■ 少女と距離を置いた理由は「妻に怪しまれると困るから」であり、    「妻に対して申し訳が立たないから」ではない。    すなわち、既婚の身でありながら特定の実在する少女に恋慕し、    自発的に接触を試みることを、背徳(浮気)とは感じていない。   半田さんの考えは個人的に共感できない部分が多い。 ゆえに半田さんの持論はTissの胸にはほとんど響かない。   ロリコンを自称する男という共通点はあるが、価値観は大きく異なっている。   ◆第2章 幼女を性的に描く漫画家    関東地方に住む30代後半の男性、青柳さん(仮名)は女児を性的に描写した、    いわゆる“ロリコン漫画”で生計を立てている。    「私たちロリコンが幼稚園児を見て「かわいい」と言う場合、     それは一般男性が20歳くらいのグラビアアイドルを見て、     『エロい』とか『グッと来る』と言っているのと同じ意味なんです」    「成人女性だけがもつ体のラインを、純粋に美しいとは思います。     たとえ成人女性とであろうとも、肌と肌の接触は無条件に気持ちのいいものだろう、と想像もつく。     子ども相手では不可能な、恋愛や同棲に対する憧れに似た気持ちもあります。     その一方で、そういう世界に入っていけない自分を自覚しているのも確かです」    異性愛者の人たちだって、わざわざ同性と性交渉を試みようとは思わないはず。    それと同じように、自分も成人女性と積極的に性交渉をもちたいという気にはなれない。    そう彼は言う。    子どもにしか関心が持てない以上、結婚はできないとあきらめている。    しかし、自分の子どもを残したいとの思いはある。    「先祖が脈々と命をつないでくれたおかげで、今の自分があるわけです。     それを自分で断ってまでも、子どもがいない自由を味わうことに     意味があるのかな、と考えてしまう」    青柳さんは、わが子のおむつを替えているうちに、小児に欲情できなくなった男性も知っている。    あまりに自分と似ているわが子の顔を見て、その気がなくなった男性も知り合いにいる。    自分にできた子どもが男の子だったら、うまくやっていける気がする。    でも、もし女の子だった場合、たとえわが子でも手を出さずにいられる自信はない。    「16歳のかわいい女の子がベッドの上から誘ってきたら、たいていの男性は行ってしまうと思う。     じゃあ15歳では? 14歳だったら?・・・と年齢を下げていくと、境目は案外はっきりしない。     たとえ10歳の女の子でも、足を開いて性器を見せていたら、むらっと来る男性は少なくないはず。     そういう意味で、児童ポルノが性犯罪を引き起こすのではないかと心配するのはわからなくもない」    一方で、規制一辺倒の風潮には懸念も覚えているという。    青柳さん自身、「自分も幸せになりたいけど、女の子にも幸せでいてほしい」と願ってきた。    だから、児童ポルノが描いてみせる願望が、    永遠にかなえてはいけないものであることはわかっている。    その上で、「男は射精さえすれば性的欲求が治まるもの。    そして射精させることによる抑止力として、    児童ポルノは現実に効果があるというのも否定できない事実だ」と述べる。   先の半田さんの時とは真逆で、非常に共感できた。   10年後の自分を見ているような錯覚に襲われた。   エロ漫画は日頃から愛用させていただいている。   似通った嗜好を持つ人間のもとには、似通った考えを持つ人間が集まるということだろうか。   ◆第3章 男児に加害し、相互援助グループに通う男性   本章では、性加害の常習犯だった男性の生き様が記されている。    「俺だけが悪いのか?     俺も変わらなきゃいけないけど、その前に親が変わらなきゃ納得できない。     親が謝らない限り、まともに生きるつもりなどない」   確かに円満な家庭環境ではなかったことが、性犯罪に駆り立てる契機になった点は否めない。   しかし性犯罪を実行した責任を親に転嫁するのは、いただけない。   これでは駄々っ子の言い訳である。   被害者に対する謝罪の気持ちがまるで感じられない。    そして今は、    「幼少期のことは自分の落ち度ではないけれど、大人になってからのことは     過去に何があろうと、自分で責任を取るべきだ」    という考えに落ち着いた。   Tissにとっては当たり前の発想だが、   男性がこの結論に達するまで、およそ40年を費やした。   あまりにも遅過ぎる。   この男性によって傷付けられた方々のことを思い遣ると、胸が痛む。   この後、男性は相互援助グループのミーティングに通い始め、   それがきっかけで成人女性との交際が始まり、復職も果たした。   だが、自分の思い通りにならないことがあると、すぐに逃げ出し、挙句には自殺しようとする。   数年経っても精神面の弱さは克服できておらず、真っ当に社会復帰しているとは言えない状況である。   自分を変えたくて足掻き、苦しんでいることは理解できるが、Tissは一切同情できない。   これらは、これまでの悪行の報いであり、受けて然るべき苦難である。   これまでに彼が傷付けた人たちに対する償いと考え、苦難を乗り越え、更生して欲しいと思う。   ◆第4章 “理想の子ども”を空想する元教師    08年某月、とある地方裁判所で裁判を傍聴した。    元小学校教諭の男性が小学校の敷地内に許可なく立ち入り、児童を撮影した。    これが「建造物侵入」に当たるかどうかを争う裁判だ。    この男性、白石さん(仮名)はかつて、自身のホームページに、    交通事故死した子どもの写真を無断で掲載。    さらに、このサイトを見た人に、児童の裸の画像を提供した。    これらの行為が著作権法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反に問われ、    執行猶予付き有罪判決を受けていた。    今回の事件は、その保護観察中の出来事だった。    裁判では、保護観察中に彼を担当した保護観察官からの評価も、弁護人によって紹介された。    彼の態度は大変良好で、保護観察付き執行猶予者が受講する「性犯罪者処遇プログラム」にも、    真面目に取り組んでいたそうだ。    さらに07年の半ばからは、月に1、2度のペースでクリニックに通院し、    精神科医の面接を受けていた。    弁護人によって、担当の医師による分析が読み上げられた。    「イメージ・空想の世界での嗜好であり、対象者に働きかける嗜好ではない。     社会的共感の鈍さはあるが、あくまでも傍観者に過ぎない。     自分がした行動を世間がどう思うか、考える力が鈍い」    裁判では、白石さんが資格を取ることにも熱心だったことが明らかにされた。    保護観察中に、彼は4つの資格を取得。    そのたびに、保護観察官に報告をした。    そして白石さんはついに、バスの運転士という新しい仕事を手にした。    バスの運転士は、幼い頃からの憧れでもあった。    また白石さんの供述によれば、ある教職員の研修会で、講師が彼を例に挙げて    「こんな、とんでもない教員がいた」と発言した。    たまたまその場に、白石さんを知る、かつての先輩が居合わせ、    「彼の何を知っているのか」と講師に食い下がった。    このエピソードを人づてに聞いた白石さんは、    うれしいと同時に、全力で信頼に応えていきたいと思ったそうだ。    仕事には、並々ならぬ情熱をもって打ち込んでいたようだ。    他方で、クリニックへの通院はおろそかになっていた。    予約を入れておきながらキャンセルしたこともあった。    法廷では、3つの小学校の敷地に立ち入った当日の様子も克明に語られた。    彼は、昼休みを利用して小学校へと向かった。    この小学校では運動会当日、保護者、地域住民、来賓だけが敷地内に入ることを許されていた。    関係者には、リボンかネームプレートの着用が義務づけられていた。    関係者ではない白石さんは何もつけないまま、    複数の子どもにカメラを向け、30分間にわたって写真を撮った。    この様子を、偶然にも彼を知る男性が目撃した。    男性はもう一人を伴い、撮影を終えて校門へ歩いていく白石さんに声をかけた。    その男性は、白石さんがかつて赴任した学校と同一校区にあった高校の教諭だった。    白石さんは二人に挟まれるおゆにして、校長室へと連れていかれた。    そうする間にも、仕事の時間は迫っていた。    「身分証明証とカメラを置いていくので、仕事に行かせてください」    彼がそう頼むと男性は、「出ていくというなら110番する」と言って、自分の携帯で通報した。    そのまま警察署へ連行された彼は、建造物侵入の疑いで逮捕された。   執行猶予付き有罪判決を受けて教職を失ったが、社会復帰を目指して資格取得に取り組み、   通院などを通じて、自分を知り自分をコントロールするスキルを身に付けようと努力していた。   かつての先輩が自分をかばうエピソードを聞いて、一層奮起した。   そして子供の頃からの憧れだったバスの運転士という再就職先を得た。   ここまでは本当に理想的な展開だった。   しかし、職を得たことで気が緩んだのか、通院をサボりがちになった。   Tissの感覚では、たとえ昼休み中であっても、   職場から離れて写真撮影に興じるなど、考えられない。   歯止めが利かない状態になりつつあったと思われる。   逮捕されたことで自分を再び見つめ直す機会が得られたと考え、   また前向きに社会復帰を目指して欲しい。   性的嗜好のマイノリティは、マジョリティに警戒心や恐怖心を持たれがちである。   これは自分たちにその気がなくても、性的に見られたり、性的なことを強要されるのではないかという、   漠然とした不安を抱いてしまうからであろう。   ゆえに性的マイノリティは、自分がした行動を世間がどう思うかを、   常に意識して行動することが求められる。   マイノリティはTPOをわきまえ、自分の性癖を無遠慮に公表することを控え、   マジョリティはマイノリティに干渉せず、見て見ぬ振りをするというのが、   共生社会の基本であるとTissは考える。   (相互に価値観を認め合う関係が理想だが、現実では難しいと理解している)   一昔前の日本では、そのような共生社会が機能していたと伝え聞いているが、   近年はマジョリティによるマイノリティ排除活動が盛んになり、   それに抵抗すべくマイノリティが声高に自分たちの主張を唱えている。   正直なところ、あまり良好な状況とは言えないが、   今は、互いの心情を正しく理解し、互いの価値観を分かり合うという、   理想的な共生社会を実現するまでの過渡期であると考えたい。   ◆第6章 「ジュニアアイドル」を取り巻く大人たち    写真集で大人顔負けの姿態を見せる少女たち、よく見れば決してモデル然とはしていない。    クラスに一人はいたような、親しみやすい顔をしている。    彼女たち自身に話を聞きたいと思った。    さっそく、都内の芸能プロダクションいくつかに取材を申し込んだ。    ようやく応じてくれたのが、大阪に事務所を置く芸能プロダクション「ホット・オフィス」だった。    ここには4歳から芸能活動を始め、10歳で水着姿を含むDVDを出した    ジュニアアイドルの佐々木舞さん(12)らが所属している。    「将来の夢は女優や歌手になることです」    そう語る舞さんに、水着姿になることと将来の夢がどうつながっているのか聞いた。    すると、短い沈黙のあとに「あんまり考えていません」との返事。    「イベントや撮影会で、『こんな人たちに水着姿を見られたくない』と思うことだってあるのでは?」    と尋ねても、「みなさん、ファンの方なので見てもらえてすごくうれしいです」という    アイドルらしい返事と笑顔が返ってきた。    ジュニアアイドルのギャラはどれくらいなのか。    業界関係者によると、通常の水着による撮影で1作品につき10万〜20万円。    Tバックや極小のマイクロ水着だと、高いところで30万円くらいが相場のようだ。    グラビア撮影経験のあるカメラマンによれば、18歳以上のアイドルでもギャラは10〜20万円。    実際は「出してもらえるだけでありがたい」と、    10万円以下で引き受ける無名のアイドルも少なくないそうだ。    本来なら収入の見込めない子どもが、これだけの額を稼ぐのだから、    お金目当ての親がいても不思議ではない。    ところが、U15アイドル撮影スタッフの男性は、    「親が娘を金づるにしている」という見方には否定的だ。    彼の目に映るのは、金銭のためではなく、    「他人と違う何か」がほしくて娘を売り込む母親たちの姿だ。    「目立ちたい、認められたい、ほかの子よりも一歩でも二歩でも先を行かせてやりたい。     この思いは、すべての母親に共通しているように見えます」    「AV出身のビデオカメラマンが増えたことで、     カメラを体じゅうに這わせるなめ≠窿香[アングルの多用も目につき出しました」    発売前に、映像のチェックはさせてもらえる。    ホット・オフィスでも以前、チェックの段階で、    水着が透けているのではと疑われる箇所や食い込みを見つけ、指摘したことがある。    ところがメーカー側に、    「60分の商品なのに、62分しか撮れていないからカットはできない」    と突っぱねられた。    すでに契約書を交わしているため、商品の発売が見送られれば、    プロダクション側が違約金を支払わなければならない。    そのときは、それ以上の抗議をあきらめて泣き寝入りしたという。    「契約書の内容によってはたとえば1年契約だったり、7本契約だったりする。     途中でいやな思いをしても、莫大な違約金を恐れて、やめられない親も多いんじゃないでしょうか」    メーカーの中には、    「一度撮ってしまえば、こっちのもの。     その子がいやになってやめてくれたほうが、最後の作品として価値が上がる」    と露骨に言う人までいたという。    ホット・オフィスでは、本来撮りたかったドラマにも力を注いでいる。    『忍風くノ一伝説 吹雪 FUBUKI』の売り上げは、約3ヵ月で7本。    布面積の小さな水着姿を含むDVDは、発売から4日で800本を超えた。    「何も仕事がなくなるよりはイメージDVDに出たい」という本人たちの希望もあり、    どの仕事を選ぶかは保護者と本人に任せているそうだ。   Tiss自身はアイドルにさほど興味を持っていないため、本章の内容は新鮮だった。   取材されていたジュニアアイドルの所属事務所は、思いのほかアットホームな印象を受けた。   しかし、少しでも売れる商品を制作したいメーカー側は、過激な撮影を強行する。   そんな潮流に反発してドラマを制作しても絶望的に売れない。   採算が取れなければ事務所を存続させることは難しい。   現状はアイドルの供給過多であり、生き残りを懸けた戦いは競争率が非常に高く、   アイドルたちに仕事を選り好む余裕などない。   知名度が上がらなければ次の仕事につながらないから、   少女たちも結局はイメージビデオに出演することを選ぶ。   アイドルの世界は純粋でシビアなビジネス社会であるということがよく分かった。   ◆第7章 少年タレントを応援するファンたち    07年頃から、ジュニアアイドルの男の子版DVDもいくつかリリースされている。    少年に愛情を抱く、俗に「ショタコン」と呼ばれる人たちをターゲットにしたものだ。    08年10月12日、東京・秋葉原で、アイドルの写真集やDVDを扱う専門店に行った。    午後3時から開催される「おとうと倶楽部」のイベントに参加するためだ。    男の子のイベントであれば、一人くらいは女性がいると思っていたが、私以外は全員が男性だった。    最終的には、15人以上いただろうか。    年齢は20代〜50代くらいまでと、意外に幅広い。    「子どもを本当に好きな人は、性暴力なんて振るわないと思う。     性的な過激さばかり求めたり、性犯罪に走ったりするのはひと握りの人。     それを、マスコミが面白おかしく取り上げているだけ。     小児愛者ばかりが、性犯罪につながりやすいような目で見られるのは、納得がいきません。     むしろ、子どもを純粋に応援する場≠ニしての受け皿はあったほうが、     犯罪の抑止につながると思う」    「多くのファンは僕と同じ。     成長を見守る親のような気持ちで応援しているはずです。     もちろん、頭の中で性的な妄想を描くことは自由だと思う。     ただ、その妄想を言葉として表に出しすぎれば変態扱いされるし、妄想を行動に移せば、     子どもが興味本位で合意したとしても即、犯罪になる。     子役タレントを応援する上で一番大切なのは、理性が崩壊しないように自己管理することです」   “成長を見守る親のような気持ち”というのは疑わしく思ったが、それ以外は概ね同意である。   性欲をコントロールするのは個人の責任であり、メディアの責任ではない。   犯罪者が罪を犯す原因は犯罪者自身にあり、性的対象が何であるかは原因ではないのだ。   ◆第8章 わいせつ行為を繰り返し、服役中の男性    一部の報道によれば、村岡さんは全部で10件のわいせつ事件を起こしている。    いずれも被害者は少年だという。    しかし、過去の新聞記事を調べても、一つひとつの具体的な内容まではわからなかった。    「せめて、最初に起こした事件の時期と内容だけでも教えてください」と、本人に手紙を書いた。    だが、来たのは、    「あまりよく覚えておりません。又、昔の事はあまり思い出したくありません。どうかお許し下さい」    という返事だけだった。    本来、20代の成人男性だったはずの性的対象が、なぜ少年へと移ってしまったのだろうか。    これについては村岡さんは、手紙の中で    「たまたまお金がなくて、つい子どもさんに加害してしまいました」と述べている。    「成人男性を買うお金が尽きると少年に加害する」という習慣を繰り返してきたのだろう。    手紙には、次のようにも綴られていた。    「子供や見ず知らずの男の人に加害するということは直さなければいけない、     悪いという事は分かっていましたが、おさえきれずに犯行に及んでしまいました。     本当に申し訳ないと思っております。     今回のような事件を起こすたびに、色々悩んだり苦しんだりしております」   自分の罪と向き合い、自分の何が悪いのかを理解することが、社会復帰の前提である。   “昔の事は思い出したくない”と目を背けていては、何も解決しない。   “本当に申し訳ない”という言葉が、とても空虚に聞こえる。   この男はこれからも性犯罪を繰り返すのではなかろうか。   以上!