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　　　「ちっちゃな雪使いシュガー；なぜサガは季節使いが見えなくなったのかを分析」

　　　季節使いと１１歳の少女サガとのふれあいを描いたテレビアニメ、ちっちゃな雪使いシュガー。
　　登場人物のほとんどが見ることのできない季節使いを、なぜかサガは見ることができた。
　　そして魔法の花が咲き、シュガーが妖精界に帰ってしまってからは、
　　今度は二度と季節使いを見られなくなった。
　　別に見えたままでも、物語の進行上、何の問題も無かったはずなのに、
　　どうして見えなくなったのだろうか。
　　　まずどうしてサガは季節使いが見えていたのかについて考察してみよう。

　　１．３年前に母親を亡くしたというつらい過去がありながら、元気に振舞う、
　　　　ある意味屈折した気持ちを持つ人物だったから。

　　２．季節使いは楽器を演奏することで季節を創り出していた。
　　　　有名なピアニストだった母親を持つサガは、母親が作曲した曲をピアノで弾くのが大好きだった。
　　　　音楽に深い思い入れのある人物に、季節使いは見えるのではないか。

　　これらは一見もっともな意見だが、屈折した感情を持ちえず、音楽ともさほど縁のなさそうな
　　赤ちゃんにも見えていたことを考慮すると、正しい解釈でないことは明白であろう。

　　３．心の純粋さを持つ人間であったから。

　　赤ちゃんに関しては言うまでもない。
　　元プロのピアニストであったヴィンセントも、子供のようないたずら心を持っていた。
　　これが一番妥当な理由と思われるが、いかにも無邪気なカノンには見えなかったことを考えると、
　　これだけでは不十分である。

　　４．転落事故を季節使いに助けてもらったのがきっかけで見えるようになった。

　　他の二人の過去については描かれてなかったので、否定はできない。

　　５．サガは母親を事故で亡くし、そしてシュガーは遠く離れた所にいるため母親になかなか会えない。
　　　　そして２人とも母親を尊敬し、母親のようになりたいと思っている。
　　　　似た者同士の２人の波長が一致したがために起こった奇跡。

　　以上が要因として考えられる。
　　恐らく、３，４，５のいずれかひとつを強く満たしていれば、季節使いが見えるのではないか。
　　　ではこれを踏まえて、別れとともになぜ見えなくなったのかについて考察してみよう。

　　１．母親をなくし、知らず知らずのうちにその寂しさを引きずっていたが、
　　　　季節使いとのふれあいを通して、自分は一人じゃないことに気付いたから。

　　事実であることは確かだ。
　　製作者側に「たとえ季節使いが見えなくなっても、死んだ母親のように、季節使いはサガの心の中で
　　ずっと身近な存在であり続ける。サガが過去を乗り越え、成長したことを強調するために、
　　あえて見えなくなったことにしよう。」という意図があったことは十分に考えられる。

　　２．残った季節使いが見えなくなったのは偶然。

　　シュガーに出会ってからは、町のあちこちで季節使いを見かけていたのに、
　　いきなり全員見えなくなったのを偶然で片付けるのは強引過ぎる。
　　だが、初めて季節使いを見たのが４歳の時で、
　　その後７年間まったく季節使いに会わなかったことはもっと不自然である。
　　ゆえに前考察の４は否定される。
　　さらにアニメ情報誌等で噂されていたように、この季節使いがシュガーの母親だったとすると、
　　サガとシュガーの因縁が強まり、前考察の５はさらに信憑性を増す。
　　以上より、サガに関しては納得のいく解答が得られた。
　　　しかしここで新たな疑問が生まれた。
　　ヴィンセントである。
　　これまでの考察から、ヴィンセントが季節使いを見ることができるのは、
　　サガと同様の体験をしてきたからだと推測できる。
　　ではなぜヴィンセントは今でも季節使いを見ることができるのだろうか。

　　１．今まさに、ある見習い季節使い（見習い季節使いＡ）ときらめきを探している。

　　シュガー達季節使いは、「きらめきは季節使いが見える人間と一緒にいれば見つかる。」という
　　長老の助言を聞いてから、ますますサガと時間を共有するようになった。
　　この助言を聞いていれば、見習い季節使いＡもヴィンセントと一緒に旅をするはず。

　　２．この季節使いは、この助言を聞いていない。

　　長老は思い人のジンジャーに告白するため、サガの住む町、ミューレンブルグにいすわっていた。
　　したがってこれを否定することはできない。
　　見習い季節使いＡは、ヴィンセントと出会った町できらめきを探している最中なのだ。
　　だが、一方で次のようにも考えられる。

　　３．見習い季節使いはこの町に住む５人だけ。
　　　　見習い季節使いの修行の場として、たまたまミューレンブルグが選ばれた。

　　第一に、季節使いの長であり、シュガーたちの学校の校長でもある長老が、
　　恋路のためにひとつの所にとどまるのは無責任すぎること。
　　第二に、一週間の修行旅行で見習い季節使いに一人も出会わなかったこと。
　　一つ目こそ、他の先生が他の地域の見習い季節使いを担当していると考えればいいかもしれないが、
　　二つ目は言い訳できない。
　　つまり３の可能性も十分考えられるのだ。
　　では仮に３が正しいとすれば、ヴィンセントが見える理由は何か。
　　これもアニメ情報誌等で噂されていた、ヴィンセント父親説を正しいとすればかなり合点がいく。
　　物語内ではサガの父親に関する情報は全く無いが、ヴィンセントがサガの父親ならば、
　　突発的に季節使いが見えるようになったとしてもそれほど不自然ではない。
　　突然見えた季節使いに驚かなかったのは、以前サガと同様に
　　見習い季節使いと過ごしたことがあったからであろう。
　　その見習い季節使いがシュガーの母親だったとしたら、なおのことこの仮説は正しいように思われる。
　　　以上からヴィンセントに関する疑問も解消された。


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