ジョギングは後ろから
    ジョギングは後ろから        午前6時30分。   今朝も、僕は妹の衛と一緒に、近くの公園を走っていた。   先頭は衛で、僕はその後ろから追いかける・・・いつも通りの光景だ。   同じ兄妹とは思えないくらい、僕は運動神経が悪い。   当然ながら、体力も無い。   衛もそのことを知っている。   衛は、自分の方が足が速いから前を走っているのだと、信じている。   ・・・ごめん、衛、僕はお前を騙している。   いくら僕でも、小学生の妹に負けるほど落ちぶれちゃいない。   抜こうと思ったら抜けるけど、僕はわざと後ろを走っているのだ。   ――なぜって?   簡単なことだ。   後ろで走ると、衛のお尻がたぷたぷするのを、じっくり見られるからだ。   「あにぃ、チョウチョが飛んでたね、見た?」   「ああ、見た、見た、かわいかったなぁ」   適当に相槌を打つ。   本当は、チョウチョなんて見ていない。   僕の目は、衛のお尻に釘付けだったのだから。   上下するお尻を眺めていると、時折、一部分が硬く、大きくなってしまう。   衛のお尻が、あまりにも魅力的だからだ。   毎日走っているせいか、衛のお尻は形がいい。   きゅっと、引き締まっている。   それでいて、思春期の入り口にいる女の子らしく、ある程度のお肉も付いていて、柔らかそうだ。   さぞかし、膣もいい塩梅にキツキツで・・・ヤバイ、またでかくなった。   実の妹のお尻で興奮するなんて、我ながら呆れてしまうほどの変態っぷりだ。   『しっかりしろ、僕!』   そう自分に言い聞かせるが、妄想は止まらない。   客観的に見て、衛はかわいい。   凄く、かわいい。   その内、たくさんの男から告白されるに違いない。   いや、もうされているのかもしれない。   もしかしたら、もう誰かと付き合っているのかもしれない。   最近の小学生は進んでいる。   たとえ衛にその気が無くても、受け気質の衛のことだ、男にせがまれたら、断れないかもしれない。   いやだ、他の男に衛の純潔を奪われるなんて、耐えられない!   妹の衛とは、結婚は当然だが、セックスも、社会的に認められていない。   でも、そんなことはどうでもいい。   他の男に犯される前に、いっそのこと、僕が――。   はっと我に返って、自分のイチモツがマックスになっていることに気が付いた。   今にも放出してしまいそうだ。   我慢しようと下腹部に力を入れるが、走っているため、集中できない。   顔を歪めながら、視線を上げる。   衛の健康的で美味しそうなお尻が視界に入る。   途端にエロい妄想が頭の中を駆け巡る。   ダメだっ、止まらないっ、止められないっ・・・・・・うっ!   辛うじて、声を漏らさずに済んだが、僕のイチモツは、パンツの中で激しく暴れまわっていた。   パンツにこびり付いた精液は、汗と混じって、強烈な臭いを発していた。   ジョギングを終え、玄関の前で衛が振り向き、モジモジしながら口を開いた。   「あっ、あのね、あにぃ・・・」   『ヤバイ、ばれたか!?』   背筋に冷たい汗が流れる。   走りながら出したことがばれたら、兄の威厳が・・・威厳が・・・。   「もしかして・・・」   『ばれたのか、そうなのか!?』   「ボクと一緒に走るの、イヤなの・・・?」   『・・・へっ?』   思い掛けない衛の言葉に、僕は唖然としてしまった。   「走ってる時に、チラッと後ろを見たら、あにぃがとっても苦しそうな顔してたから・・・」   違うよ、衛、出そうなのを無理に我慢しようとしていたから、そんな顔になっていただけなんだよ。   ・・・とは、口が裂けても言えないので、   「違うよ、衛、衛と一緒に走るのは、とっても楽しいよ」   と、笑顔を湛えながら答えた。   完全に作った笑いだったら、衛の疑いを晴らすことはできなかっただろう。   だが、僕は精液の話ではなかったことに安堵していたので、その笑顔には実感がこもっていた。   衛は納得してくれたらしい。   「そっか・・・でも、これからはもっとペースを下げた方がいいよね?」   衛には、自分のペースで気持ちよく走ってもらいたい、そう思った僕は、   「いや、大丈夫だよ、今のままで」   と、優しく答えた。   「だけど、あんなに苦しそうだったのに・・・」   このまま時間を食うと、「あにぃ、変な臭いがしない?」とか言いかねない。   そう思った僕は、意を決して、言葉を続けた。   「違うよ、衛、出そうなのを無理に我慢しようとしていたから、そんな顔になっていただけなんだよ。」   「出る?何が?」   予想通り、衛は食いついてきた。   僕は、一言一言区切りながら、はっきりとその答えを告げた・・・「う・ん・こ」と。   衛の顔が、みるみる紅色に染まった。   「あにぃのばかぁ!」   そう叫んで、衛は家の中に駆け込んでいった。   衛が本気で僕を非難しているわけではないことは、衛の後姿、もとへ、衛のお尻の揺れ具合で分かった。   『これも日々の観察の成果だな』   そう思いながら、僕はパンツを替えに、自分の部屋に向かった。