ガールズ・セラピー 第2話
    ガールズ・セラピー 第2話   土曜日。   指定された場所は、路地裏に佇むワンルームマンションの一室だった。   昨晩は興奮してなかなか寝付けなかった。   いじり過ぎて、まだヒリヒリが残っている。   身体もちょっと熱い・・・っと、いけないいけない。   集中集中。   ふぅと大きく深呼吸して、気持ちを整え、チャイムを押した。   落ち着いた感じの低い声が返ってきた。   どちら様ですか?   志望者です。   作文は持ってきましたか?   はい。   広げて見せて下さい。   ドアの覗き穴からこちらの様子を窺っているらしい。   言われた通りに、カバンから紙を取り出し、前方に示した。   お入り下さい。   20秒ほど間をおいて、やっと入室許可が下りた。   声の主は40歳前後のオジサンだった。   ガチャリ、カチャカチャ。   私が入るなり、オジサンはドアチェーンを掛け直した。   部屋の奥には若いお兄さんがソファーにもたれて待ち構えていた。   会釈で、向かいのソファーに座るよう、促された。   もう後戻りはできない。   そう思うと、下腹部が小さく痙攣した。   注意点は2つあります。   ひとつは面接が終わるまで勝手に動かないこと。   もうひとつは指示に従うことです・・・いいですね?   はい。   作文はどうですか?   チェック終了です。   バッチリですよ。   相変わらず早いですねえ。   まあ慣れてますから。   では早速、ルックス審査に移りましょうか。   お兄さんはにっこり笑った。   樋口彩湖さん、今着ている服を全部脱いで下さい。   えっ・・・いきなり?   座ったままでお願いします。   脱いだら後ろのオジサンに渡して下さい。   うう、従うしかないよね。   とりあえず上から・・・って、それは何?   ああこれですか?   記録するだけですよ。   気にしないで脱いで下さい。   いや気にするでしょ、普通。   けどまあ、ガールズ・セラピーじゃあ、こういうことが普通なのかも。   ちょっと恥ずかしいけど、これも訓練よね。   私は一枚、また一枚と、服を脱いだ。   さすがに最後の一枚、パンツを脱ぐ時はちょっと躊躇ったけど、ようやく脱ぎ終えた。   よくできました。   じゃあ両脚をソファーに乗せて、よく見えるようにして下さい。   お兄さんは私の方に擦り寄り、ビデオカメラを近付けた。   きっと画面いっぱいに私のあそこが映っているんだろうな・・・。   ちょっと赤くなっていますね。   始めたのはいつ頃ですか?   あっえっと・・・半年くらい前から・・・。   なるほど。   それでは樋口さんの半年の成果を、我々に見せていただけますか?   カメラをあそこに向けたまま、お兄さんはこちらを見上げた。   目が合った。   途端に恥ずかしさが込み上げてきた。   潤み始める。   触りたい、触りたい。   私は夢中で指を動かした。   顔が火照る。   息が弾む。   喉の奥がネバネバする。   焦点がぼやける。   意識が切れ切れになる。   ああダメっ!   もうっ、もうっ!!   いやあ、エロいですなあ。   私、こんなになってしまいましたよ。   嗅いだことのないニオイが鼻先をかすめた。   目に飛び込んできたのは先っぽが小さく割れた茶色の物体だった。   見たことはあった。   でもこんなに大きいのは初めてだった。   これが・・・勃起・・・。   いいねえっ、ますますエロくなったよ。   少し目線を上げると、歯を剥き出して笑うオジサンの顔が見えた。   なんて下品な笑顔なんだろう。   さっきまでの静かで優しそうな雰囲気とは、全然違う。   エッチする時、大人は、男の人は、こんなに変わっちゃうんだ・・・。   なんだか少しずつニオイが強くなってきた。   凄く変なニオイなのに、顔を背ける気になれない。   なんでだろ・・・。   おやおやっ、ヨダレが垂れてきてるじゃないかねっ?   やめてっ!   オジサンっ、その半開きの口にっ、ねじ込みたいなあっ!   言わないでっっ!!   君はっ、本当にっ、エロいっ、女の子だあああっっ!!   いやぁっ・・・あああっっ!!   ビッビクゥッ!ビクゥッ!ビビクゥッ!   ぐっくうっっっ!!   どびゅどびゅっ!どぷっどぷぷっ!ぴゅぴゅっ!   ・・・。   面接は合格だった。   いつの間にか、顔中に生温かいデロデロがまとわりついていた。   お兄さんはそれをティッシュで拭き取りながら、オジサンを睨みつけていた。   オジサンはへこへこしながら、何度も何度も謝っていた。   だけど、その顔は満足気で、ちっとも反省しているようには見えなかった。   シャワーで身体のぬめりを流している間に、これからのことを考えた。   ぼんやりした頭で、一生懸命に考えた。   もう一度確認しますよ?   本当にいいんですね?   結論は変わらなかった。   やめるという考えは、一切、頭に浮かばなかった。   あんまり増え過ぎるのも良くないでしょうし、   今期の新人は彼女と、Cさんが連れて来た子で決まりでしょうね。   でしょうね。   Cさん、どうやってあんな子、見つけてきたんですか?   たまたまですよ。   またまたぁ、偶然なんて有り得ないでしょ〜。   あの伝説のセラピストだってCさん経由でしょ?   こんな短期間に偶然は2回も続かないっすよ。   やっぱあれですか?   ツテがあるんですか?   すみません、Eさん。   彼女のプライバシーもありますから・・・。   いやうん、分かってますよ。   そんな嫌そうな顔、しないで下さいよ。   ただ羨ましいなあって思っただけなんです。   こないだ娘に「パパ、ウザい」って言われましてね。   ああ自分にはもう出会いは無いのかなあ、と。   あなたの若さが羨ましいのです。   そうでしたか、すみません。   いや、Cさんが謝る必要ありませんよ。   悪いのは私ですから。   あの二人は上手くやっていけますかね?   私はかなり才能あると思いますけど。   どうなるかは本人達のやる気次第でしょう。   我々は全力でサポートするだけです。   何かを掴んで、幸せになって欲しいですね。   ええ・・・私もそう願っています。