Tissのエロ漫画レビュー 『さ行』
Tissのエロ漫画レビュー 『さ行』
◇佐々原憂樹
★遠い日の欠片 初版発行:2006年6月2日
暗い、暗過ぎる。
読み進めるほどに気分が滅入ります。
話重視でもエロをなおざりにしていない点は評価に値しますが、
少女が哀れで、エロに集中できないならば、ほとんど意味がありません。
華奢な身体つきと生々しい性器描写が、あまりにも不釣合いで気持ち悪さすら感じます。
絶頂を「乱れフォント」(※Tiss命名)で表現する手法は斬新ですが、
画よりも目立ってしまい、逆に実用性が損なわれていると思います。
多数収録されているカラーイラストは、繊細さと荒々しさが入り混じり、
芸術性を感じるくらい素晴らしい出来ですが、
作者のウェブサイトに行けばタダで拝めることを考えると、手放しに喜べません。
むしろ、余分に一話収録してくれた方が良かったと思います。
多くのロリコンから高評価を得ているのが、とても不思議です。
■ ベターエピソード ■
●コワガリ×ツヨガリ
「これからはひとりでオナニーするのは ゆるさないから♥」
兄×妹。
「おにいちゃんとエッチしたい・・・でも恐い・・・」そんな複雑な心理を丁寧に描いた話。
強がる姿も恐がる姿も非常に愛らしく、しかも絶妙なリアリティを伴っています。
上で引用しているのは、妹が事後に兄の耳を引っ張りながら囁いたセリフです。
読み終えた後、ほんわかした気持ちになりました。
この話が無かったら、評点は6点になっていたでしょう。
●それは辛く優しい下手な嘘
「ねぇパパ」『…………』
「パパが一番 好きなのはだぁれ?」『ママの名前 呼んだ』
「……早苗だよ」
「ホント?」『ウソツキ』
切ねぇ・・・。
●いつかきっと
『花梨の父親は 彼女の目の前で 再婚相手に 殺された』
「このひとも これで 私だけのもの」
『相手も後を追い 花梨だけが残った』
「じゃあね あなたはずっと そこにいなさい」
やめてくれよ、そこで泣くのは。
やめてくれよ、そこで微笑んで膝枕するのは。
重い、重いよ・・・。